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VAR導入でワールドカップはどう変わる? 今さら聞けないルール変更と見所とは

14日、4年に一度開催されるサッカーのW杯が開幕しました。

 

今大会からはビデオアシスタントレフェリー(VAR)が導入されることになっています。

 

1986年メキシコ大会のアルゼンチン対イングランドの試合では、アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ選手が手で決めた得点が認められ「神の手ゴール」と呼ばれています。

 

そうしたゴールが今大会ではなくなるかもしれません。

 

このVARをはじめ、今大会に新たに導入された大会のルールや審判目線での見所をまとめました!
 
最大の変更点VARの導入
ジャッジの側面で、今回のW杯における最大の変更点はビデオアシスタントレフェリー(VAR)が導入されたことでしょう。

 

遡ると2010年の南アフリカで開催されたワールドカップのイングランド対ドイツの試合で、ゴールに関わる誤審が起きました。

 

フランク・ランパード選手が決めたシュートが、リプレー映像で見ると明らかにゴールラインを割っていたのに認められなかったのです。

 

このミスジャッジを受けて、2014年のブラジル大会ではゴールラインテクノロジーが導入されます。

 

これによって審判員だけでは確認が難しいような場面でも正しい判定が下され、「ゴールラインを割った」「割っていない」という場面での大きな議論は起きませんでした。 

 

当時からFIFAはテクノロジーにジャッジを手助けしてもらうという方針になっており、現会長のジャンニ・インファンティノ氏もテクノロジー導入に前向きです。

 

汚職問題などで揺れたFIFAは現在、様々な点で高いクオリティを用いるために「FIFAクオリティ」という言葉を用いています。

 

芝やボールの品質に、高い基準を求めていますが、ジャッジに関しても「FIFAクオリティ」を求め、ゴールラインテクノロジーやVARを導入しているのです。

 

判定の是非を確認するという点では、ラグビーや野球に近いでしょう。 

 

W杯でのVAR導入の前段階として、FIFAは2年前からVARの試験導入をしていました。

 

最初にテストされたのは、2016年に日本で開催されたFIFAクラブW杯のときです。

 

準決勝の鹿島アントラーズアトレティコ・ナシオナルの一戦では、鹿島のセットプレーの際にペナルティーエリア内で反則があったことがVARによって明らかとなり、鹿島にPKが与えられました。

 

その後、ドイツのブンデスリーガ、イタリアのセリエA、オランダのエールディビジ、オーストラリアのAリーグなどでも、テスト導入されています。

 

余談ですが、Jリーグでも今後、テスト導入される予定です。 

 

 

当初はプレーが急に途切れて、試合が数分間に渡って突然中断するため、会場で何がおきているのかがわからないという問題はありました。

 

しかし、現在はVAR判定中に会場のスクリーンに「VAR」と表示されるようになったこともあり、判定後にはそのプレー映像も流されるため、わかりにくいことはかなり緩和されたでしょう。 

 

 

とはいえ、すべてのプレーにこれを導入すると膨大な時間がかかってしまう可能性もあるため、「得点」「PKの有無」「一発退場」「警告・退場などの人間違え」という4点に関わるジャッジにのみ、VARは用いられます。 

 

 

ロシアW杯にはVAR用のジャッジが13名参加します。1試合あたり、2名体制でモニターを見ながら判定を下します。

 

実際にピッチ上を走るわけではありませんが、90分に渡って一つひとつのプレーを細かく見るわけですから大変な作業です。

 

このやり取りはすべて英語で行われるため、今後、VARが当たり前のように導入されることになれば、国際レフェリーの資格に「英語が話せること」も加えられるかもしれません。

 

VARレフェリーから英語で言われたことを理解できないといけませんし、もし不安なジャッジがあったときに自分から説明を求めないといけないからです。 

 

 

このVARが導入されることで、ジャッジのミスはなくなります。

 

今でも語り継がれている、ディエゴ・マラドーナが手で決めた「神の手ゴール」などは、今大会では認められないでしょう。

 

伝説的なミスジャッジがなくなるかもしれませんが、競技の本質を考えれば、それはデメリットと言えないでしょう。ゴールラインテクノロジーほどではありませんが、VARも多くの予算がかかります。

 

それでも今後、より多くの国際大会で導入されていくでしょう。

 

2年後の東京オリンピックでも使用される可能性は高いですし、どういったメリット、デメリットがあるかを考えながら見るのもいいのではないでしょうか。


VAR以外の2つのルール変更
VAR以外にも、2つのルール変更があります。

 

一つは延長戦での選手交代枠の増加で、前後半90分の中で各チーム3人までしか認められていなかった選手交代が、延長戦に入るともう一人ずつ交代できるようになったのです。

 

これはすでにリオ五輪でも実施されましたが、審判員には影響はありません。

 

それでも、フレッシュな選手がピッチに入ってくることで試合の質を高めることにつながりますし、戦術的な変更も可能になりました。

 

もう一つの変更点は、ベンチで外部からの情報を受け取ることができるようになったことです。

 

これまでは選手たちの動きを追い、走行距離やスピード、どこに動いているかなどをデータ化するEPTS(Electric Performance & Tracking System)で自チームのデータ受信だけが認められていました。

 

これによってどの選手の運動量が落ちたかなどは数値としてわかっていました。

 

しかし今回、自由に情報を入れられることになったので、相手チームの分析をリアルタイムにできるようになっています。

 

スタンドからの指示を無線で受けることもできるようになりましたし、

 

ベンチにタブレットを持ち込んで情報を得る人も出てくるかもしれません。

試合中、どのように戦術が変わっていくか興味深いところです。 

 

懸念されるのは、ベンチで受け取った映像を「ファウル」「ファウルじゃない」と審判員に指摘する人が出てくる可能性があることです。

 

そうした利用方法は認められないのですが、初めての試みのため、驚くようなことが起こる可能性はあります。 

 

 

また、日本人レフェリーの活躍にも期待がかかります。当初、W杯レフェリーに選出されていたのは佐藤隆治主審、相樂亨副審の2名でした。

 

しかし、W杯レフェリーに内定していたサウジアラビアの審判2名(主審1名と副審1名)が、

 

国内での試合で八百長に絡んだことが発覚。

 

同国サッカー協会から抹消され、永久追放となりました。

 

FIFAもW杯のレフェリーから除外し、UAEの主審と日本の山内宏志副審を追加選出したのです。 

 

W杯では同じ国や地域出身のトリオ(主審と副審2人)が各試合を裁くのが通例です。

 

前回のW杯でも日本からは、西村雄一主審、名木利幸副審、そして相樂副審がトリオを組んでいました。

 

そのため、佐藤主審と相樂副審のみが選出されていた時点では、佐藤主審は第4審判員を、相樂副審は予備の副審を務めることで、2人がピッチに立つ可能性は低いと思われていました。

 

しかし山内副審が追加で選出されたことにより、日本人がトリオとなったため、ピッチに立つ可能性が高まっています。

 

日本代表チームだけでなく、彼らの活躍にも期待したいしましょう。